一般人も、「日常動作」のアスリートである

 スポーツ動作も日常動作も、身体を動かして目的を果たすという点においては、なにも変わったことはありません。歩く、立つ、しゃがむ、立ち上がるなど、日常の動作をスムーズに出来るように指導することと、アスリートに身体の使い方を教えるということはほとんど変わりません。
 つまり、一般の方でも普段からコンディションを整えるためには、アスリートと同じように身体のバランスを整えたり、身体の使い方を意識したりすることが必要で、それをしないからどんどん不調が出てきたり、変な歩き方や格好悪い立ち方などになってしまうのです。

アスリートは特異な動きの専門家である

 アスリートは、一般人が行うべき日常動作は当たり前のようにできなければなりませんし、その上でひとつひとつの動作にスピードや正確性を求められます。一般人が「美しく歩く」とすると、アスリートは「速く走る」なのです。

 では指導内容で何が変わってくるかというと、アスリートの場合は完全な対称性を持った、バランスの良い体ではいけないという部分が出てきます。例えば水泳や自転車などを種目としているアスリートの場合、競技の特性上背中を丸めることが出来なければなりません。一般人には背中を丸めるという動きはほとんど必要ありません。

 つまり、競技で勝つために、あえてアンバランスな身体を作らなければならないということもあるということです。

一般人は最低限。アスリートは上限なし

 一般人は家に帰るまでのタイムを測ることもありませんし、ゴミ箱にごみを15メートル手前から入れるというようなことも必要ありません。ですから、身体の不調が出ない、最低限の筋力と、身体の使い方を覚えることで十分です。

 アスリートの場合は、記録を更新するということが目的となりますから、トレーニングの強度などに上限がありません。

 アスリートの指導に関しては、一般人向けの動作指導を超え、さらに高度な動作改善やコンディショニングトレーニングの知識が要求されるということになります。